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「空き家問題」と「老後2000万円問題」から生まれた、これからの投資法

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近年、東京や大阪などの大都市圏では実需(自分で住む用)・投資用問わず、不動産相場が上昇しています。一方、地方では人口減少に伴う空き家が目立つようになり行政も問題視されており、それに伴って空き家・古家にリノベを施して投資物件として蘇らせる不動産投資に一定の注目が集まっています。本記事では新刊『リスクを極限まで抑えて儲ける「空き家・古家」不動産投資』(大熊重之著)の前書きから、空き家・古家投資に注目が集まるようになった一因を紹介します。

空き家・古家をめぐる現状

本記事をご覧の方はすでに不動産投資をしている方でしょうか。それとも、これから老後の資産をつくるために興味を持って見に来たのでしょうか。

いずれにしても、築古戸建投資(以下、空き家・古家投資)は、たとえばアパマン投資とは違い、少額の資金から始められる新しい不動産投資です。また、経済の先行きの見えない株式投資よりもリスクが低い投資法と言えるかもしれません。使われなくなった古い戸建不動産を再生し、新たに賃貸物件として生まれ変わらせる。それが、これから解説していく「空き家・古家投資」なのです。

そもそも「空き家問題」と聞いて知らない人はいないと思います。現在、日本には空き家・古家が800万戸以上あると言われていますが、この問題は、もう20年以上も前から社会的な課題とされてきました。

空き家問題を簡単に言ってしまえば、地方から都市部への人口流出と高齢化により、空き家が増加し始めたのが原因です。

その後、2013年に日本の国土交通省が「空き家対策の推進に関する特別措置法」を制定し、地方自治体が空き家の所有者を特定し、必要に応じて強制的に撤去できるようになりました。とはいえ、政府も含め、空き家対策の大きな解決策は見つかっていないというのが現状です。

ですから、空き家・古家投資は、全国に多く存在する空き家・古家を投資物件として再生することにより、空き家問題も解決できるという、いわば社会的貢献も果たすことが可能な投資なのです。

さて、投資ということに関しては、誰もが将来的な不安から「始めなければ」という気持ちが強いと思います。空き家問題と同じく、将来の不安ということも20年以上前から言われていたことです。

とくに問題となったのが「老後2000万円問題」です。これが大きな話題になったきっかけは、2019年に金融庁が発表した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」(通称:老後資金2000万円問題のレポート)で提起されたことでした。

この報告書では、夫婦が共に65歳でリタイアした場合、公的年金だけでは足りず、老後のおよそ30年間で約2000万円の取り崩しが必要になると発表されました。この数字は、一般的な生活水準を維持するための生活費から見積もったものです。

この発表は大きな話題となり社会的な議論を呼びました。とくに、一般の人々が2000万円を貯めるのは困難であるとの指摘や、公的年金制度への不信感が広がったためです。この報告書以降、「老後2000万円問題」というフレーズは、老後の生活費に対する懸念を象徴する言葉として広く認識されるようになりました。

「老後2000万円問題」解決のポイント

私は、この両方の問題を解決するポイントは「自立」にあると思っています。まず、国が決めた規制や制度に関係なく、みずからが住宅の価値・空き家の価値を考えることです。

そもそも国が何の制限もなく新築住宅をドンドン建てさせることによる市場のゆがみや、現場・実態に即さない建築基準などがあります。これまでの長期間、それらにより私たちの住宅に対する価値観や思考が変えさせられてきたのです。

いっぽう、教育などで一律の考えに統率し、公的年金を餌に1つの企業で1つの仕事(終身雇用)を真面目にこなし、税金を払うことで国・企業に依存するようにさせられました。さらにデフレによる失われた30年間が人々を保守的にし、多様性が叫ばれているいまも、その固定観念は変わりません。

それにもかかわらず、国はアベノミクス以降、投資国家を推奨し無責任な投資をあおっています。私の知り合いにはFXに投資し4000万円の借金をしてしまった人もいます。怪しい投資法を勧めるセミナーなども蔓延するなか、多くの人が投資に足踏みし価値観を変えられないまま不安を抱えているのです。

また、企業からの自立という観点から見れば、2017年に「働き方改革実行計画」が閣議決定され、副業が推奨されるようになりました。しかし、大企業では50%以上が副業をおおむね認めているものの、従業員100人未満の中小企業では30%ほどです。

しかも、時間的余裕がない、体力的に厳しい、どんな副業をしたらいいかわからないといったことで、実際に副業で収入を増やしている人は少ないと考えられます。

つまり、一定の資産を形成するには、結局は何かしらの投資を始めなければ、根本的な問題は解決できないということです。ですから、これまでのあなたの価値観を変えなければ、あなたの幸福を追求することができない時代にきているのだと思っています。


著者プロフィール

大熊重之(おおくま・しげゆき)

一般社団法人全国古家再生推進協議会理事長。株式会社オークマ工塗代表取締役。その他3社の代表、3社の役員を務める。2000年5月、東大阪の小さな貸工場で部品塗装の会社を開業。従業員3人から初めて、下請け業の経営に苦しむものの、2013年に始めた空き家・古家不動産投資がきっかけで会社が5社になり、2023年にはグループ売上6.4億円となる。

一般社団法人全国古家再生推進協議会は、2023年12月現在会員数が14000人を超え、空き家再生数は2000棟以上。空き家投資の知識と経験が得られる空き家古家物件見学ツアーは、毎年増え全国31地域で開催され累計開催数は1200回、参加者は6500人を超える。その実績が認められ、2023年国土交通省の不動産アワードで優秀賞を受賞する。

著書に『儲かる! 空き家・古家不動産投資入門』『空き家・古家不動産投資で利益をつくる』(いずれもフォレスト出版)がある。


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